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1998 年度 実績報告書

ミオシン軽鎖リン酸化酵素阻害薬の抗分泌薬、抗潰瘍薬としての応用開発

研究課題

研究課題/領域番号 10557219
研究機関東京大学

研究代表者

漆谷 徹郎  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (40262159)

研究分担者 長尾 拓  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (30217971)
キーワードミオシン軽鎖キナーゼ / 胃酸分泌 / カルモジュリン / 酵素阻害薬 / ウサギ
研究概要

本研究は,ミオシン軽鎖キナーゼ阻害薬を消化性潰瘍治療薬として応用する可能性を探るというものであり,全く新しいタイプの治療薬の開発を目的とする.本年度は,予算配分措置が遅かったこともあり,次の3点を目標とした.すなわち(1)壁細胞には,筋組織と異なったミオシン軽鎖キナーゼが存在し,且つ生理的に機能しているという仮説を検証すること,(2)これを精製してその性質を明らかにすること,および(3)これに対する阻害薬のスクリーニングを開始すること,である.
まず,各種ミオシン軽鎖キナーゼ,カルモジュリン阻害薬が胃酸分泌を抑制するが,これらの作用は殆どが非特異的作用によるものであることを明らかにした(Eur.J.Pharmacolに発表).通常の阻害薬を用いた薬理的手法には限界があることから,ペプチドを細胞内へ導入することが可能な透過性胃底腺を用いたスクリーニング系を開発し,特異的ミオシン軽鎖キナーゼ阻害ペプチドがcAMP刺激酸分泌を抑制することを示した(現在投稿中).そこで,胃底腺可溶性分画からミオシン軽鎖キナーゼ阻害ペプチドで抑制されるミオシン軽鎖リン酸化活性を精製したところ,他の組織で知られている酵素とは異なり,カルシウムカルモジュリン依存性が全く存在しなかった.従って,酸分泌に関与するミオシン軽鎖キナーゼは,既知のものとは全く異なる性質を持つ新規酵素であることが明らかとなった.実際,wortmanninやML7のようなATP部位に作用する薬物はこの活性を抑制するが,W7をはじめとする各種カルモジュリンアンタゴニストは抑制を示さなかった.この新規酵素の構造を決定すべく,現在更なる精製を継続中である.阻害薬探索に関して,当初計画では明治製菓よりスクリーニングソースの提供を受ける予定であったが,会社側の機構変更によってそれが不可能となった.そこでwortmanninを発見した経験のある協和発酵研究所より一連の発酵産物の提供を受けることとし,これらを用いて精製酵素を対象としたスクリーニングを行うべく,現在準備中である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] K.Akagi,T.Nagao,T.Urushidani: "Gastric acid secretion is augmented by the replacement of extracellular Na+ with K+ or other ions." Jpn.J.Pharmacol.78. 147-159 (1998)

  • [文献書誌] Y.Sugita,T.Nagao,& T.Urushidani: "Nonspecific effects of the pharmacological probes commonly used to analyze singal transduction in rabbit parietal cells." Eur.J.Pharmacol.365. 77-89 (1999)

  • [文献書誌] K.Nishioka,T.Nagao,& T.Urushidani: "Correlation between acid secretioin and proton pump activity during inhibition by proton pump inhibitors omeprazole and pantoprazole." Biochem.Pharmacol.(印刷中). (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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