研究課題/領域番号 |
10557221
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大熊 勝治 金沢大学, 薬学部, 教授 (10119563)
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研究分担者 |
染井 正徳 金沢大学, 薬学部, 教授 (20110546)
横山 謙 金沢大学, 薬学部, 助手 (70271377)
荒井 國三 金沢大学, 薬学部, 講師 (50126562)
畑中 保丸 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (30111181)
太田 哲生 金沢大学, 医学部・附属病院, 助教授 (09671290)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | バフィロマイシン / プロトンポンプ / PC12 / アポトーシス / 突起伸展(NOG) / プロジギオシン / 細胞分化 / コンカナマイシン |
研究概要 |
本研究では,バフィロマイシン類やプロジギオシン類等の、空胞系プロトンポンプ(V-ATPase)を阻害する物質による,細胞の増殖阻害、分化・アポトーシスの誘導機構等を明らかにするともに、細胞増殖阻害と分化・死誘導に必須な構造、並びにプロトン輸送阻害機構の解明を目指している。 先ず、バフィロマイシン類は神経突起伸展(NOG)とともにアポトーシスを誘導するが、情報伝達経路は両反応で異なっており、両反応とも新たなRNA合成及び蛋白質合成を必要とし、MAPキナーゼ/セリン・スレオニンフォスファターゼ、チロシンキナーゼに依存し、一方K-252a阻害されず、A-キナーゼに非依存性であるが、アポトーシス誘導はチロシンホスファターゼ、アラキドン酸カスケード、カルモジュリンキナーゼ等に非依存性である点で、NOG誘導と異なっていた。しかし、in vivoでは空胞系プロトン・ポンプを阻害するプロジギオシンや、tambjamineグループのBE-18591もH^+/Cl^-シンポート活性を示し、かつNOGやアポトーシス誘導活性があるが、H^+/Cl^-シンポート活性で一律に説明することは出来なかった。と言うのは、H^+/Cl^- symporter活性を示すtetrapyrroleは、増殖阻害・細胞死誘導作用はあるがNOG作用は示さなかったからである。また、V-ATPase阻害剤によるPC12細胞のNOG、アポトーシス誘導、細胞増殖阻害活性等にpHは関係していない。というのは、NOG誘導活性のないデストラキシンBもデストラキシンEと同様にリソソームのpHを上昇させるからである。なお、プロジギオシンもヌードマウスに移植した癌細胞の増殖を抑制する。一方、バフィロマイシン類は移植血管細胞の増殖をも阻害することを発見した。このことは、動脈硬化発現にプロトン・ポンプが関係していることを示唆しており、興味深い。 一方、真性細菌である高度好熱菌V-ATPaseの遺伝子を同定することが出来た。operon構造を取ってい研究しやすいので、今後、この系を使ってV-ATPaseのプロトン輸送機構等を明らかにしたいと考えている。現在、V-ATPaseの回転について検討中である、 なお、プロトン・ポンプ阻害活性のある「コンカナマイシン結合フォトアフィニティープローブ」の作成についに成功した。コンカナマイシン結合タンパク質の同定が可能になったので、今後、同じ原理で「コンカナマイシン結合アクリルアミド結合体」等を合成し細胞内に入らないことを確認した上で、細胞膜に作用してこのような効果が出るのか否かを確認したい。 なお、プロジギオシン類はブタ胃粘膜の(H^+-K^+)ATPaeのプロトン・ポンプ活性をも可逆的に阻害することを発見している。
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