研究課題/領域番号 |
10557223
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
三輪 匡男 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10046287)
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研究分担者 |
林 眞知子 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (50137072)
前田 利男 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (00137069)
菅谷 純子 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30098131)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | PAF / PAFアセチルヒドラローゼ / 遺伝素因 / 腎不全 / 閉塞性動脈硬化症 / 酸化脂質 |
研究概要 |
炎症・アレルギー反応に関わる重要なメディエーターであるPAFはPAFアセチルヒドロラーゼ(PAF-AH)により分解されその活性を失うことから、PAF-AHが生体内の作用発現に極めて重要な働きを持つと推察される。我々は先天性PAF-AH欠損家系を初めて発見するとともに、この酵素欠損が代表的アレルギー疾患である小児喘息の遺伝素因であることを報告している。米国の研究グループからこの酵素蛋白質(46kDa)のcDNA塩基配列が報告されているが、我々はヒト血漿30lから血漿PAF-AH酵素蛋白質の精製を進め、SDSポリアクリルアミド電気泳動法とPAF-AH活性染色法を組み合わせて新規な手法を用いてヒト血漿中の主要なPAF-AH酵素が約10kDaに相当する糖鎖と36kDaの蛋白質で構成された糖蛋白質であることを証明することが出来た。この精製酵素蛋白質が極めて微量であったことから、さらに501のヒト血漿から精製を進め、分離した糖蛋白質型PAF-AHの遺伝子情報を得るためにN末端アミノ酸配列を解析中である。一方46kDaのPAF-AH点変異DNA情報(G994T)をもとにステロイド反応性小児腎不全、IgA腎症、閉塞性動脈硬化症患者の末梢白血球からDNAを抽出精製し、PCR法で点変異遺伝子を解析した結果、異常遺伝子(G994T)を持つ患者は対照群と比べ再発率が高いあるいはより重篤な症状を呈し、血漿PAF-AH酵素欠損が病態進行、重症化のリスクファクターの一つであることを報告することが出来た(業績3、5、9)。さらにPAF-AH欠損者血漿中では酸化リン脂質が代謝されず蓄積することから、動脈硬化症発症の引き金となる末梢血単球の走化性、内皮細胞への粘着性も健常者のそれと比べ高いことを明らかにするとともに、血漿PAF-AH酵素欠損が動脈硬化症発症のリスクファクターとなっていることを報告することが出来た(業績4、6)。
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