研究課題/領域番号 |
10557227
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺崎 哲也 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (60155463)
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研究分担者 |
菊地 明彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40266820)
帯刀 益夫 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10099971)
細谷 健一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (70301033)
福島 清実 大正製薬, 開発研究所・薬物動態研究室, 室長
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キーワード | 血液脳関門 / 脳毛細血管内皮細胞 / 温度感受性SV40T抗原遺伝子 / トランスジェニック動物 / 条件的不死化細胞 / P-糖蛋白 / グルコース / タイトジャンクション |
研究概要 |
本研究は、温度感受性SV40T抗原遺伝子導入動物から脳毛細血管内皮細胞を単離し、条件的不死化細胞株を樹立し、血液脳関門培養細胞実験系を開発することを目的とした。今年度の重要な研究成果は、温度感受性SV40T抗原遺伝子導入ラットから脳毛細血管内皮細胞について条件的不死化細胞株を樹立したことである。さらに、星状膠細胞、周皮細胞についても条件的不死化細胞株を樹立中である。樹立したラット脳毛細血管内皮細胞株は、acetyl化LDL受容体、アルカリフォスファターゼ、ガンマーグルタミルトランスペプチダーゼなどの内皮細胞マーカーが検出された。さらに、輸送系としてGLUT-1,mdrlaの発現がRT-PCRで検出された。特筆すべき成果として、この細胞株にはタイトジャンクションの形成に非常に重要な働きをしていると推定されているclaudin-5,occludin,junctional adhesion moleculeの発現がRT-PCR法で検出されたことである。本細胞株の特徴である温度感受性については、33度で優れた増殖性を示し、37度、39度では増殖速度が顕著に低下することが示された。また、Western blotの解析結果から、細胞内のT抗原量は33度に比べて37度で顕著に低下することが明らかになった。T-抗原は細胞内のp53,Rb蛋白などと結合してアポトーシスの制御や種々の遺伝子発現調節に関与していると推察されており、本細胞株を37度で培養したときにどの程度までin vivoに近い特性を発揮するかさらなる検討が必要である。以上、これまで得られた知見から、本研究によって優れた特性を有する細胞株が樹立できたと結論付けられる。
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