研究課題/領域番号 |
10557228
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大泉 康 東北大学, 薬学部, 教授 (00006355)
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研究分担者 |
梅田 麻美 三菱化学, 総研・医薬第一研, 副主任研究員
喜多田 好 三菱化学, 総研・医薬第一研, 主任研究員
中谷 圭吾 東北大学, 薬学部, 教務職員 (60281979)
松永 公浩 東北大学, 薬学部, 助手 (90222306)
中畑 則道 東北大学, 薬学部, 助教授 (60045804)
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キーワード | 高血圧 / 血管 / リード化合物 / α-マンゴスチン / γ-マンゴスチン / ナンテニン / セロトニン / ヒスタミン |
研究概要 |
高血圧症が引き金となり動脈硬化を引き起こし、それが狭心症や心筋梗塞といった様々な循環器病の原因となっている。一般に高血圧の患者には血圧降下剤を連用しなければならないため、副作用の少ない治療薬の開発が社会的要請となっている。人類は、数千年前から動植物を病気の治療に用いてきた。また、現在汎用されている合成薬も元をただせば天然物由来のものが多い。伝統ある生薬や海洋生物などの天然資源から、リード化合物を見出し、種々の誘導体を合成し、副作用の少ない優れた血圧降下剤を開発することが本研究の目的である。我々は天然界からα一受容体やセロトニン受容体などのレセプター、および筋収縮系に作用する多くの天然生理活性物質を見出してきた。南天実のメタノールエキスから得られたナンテニンは、セロトニンによる多血小板血漿を用いた血小板凝集作用には影響を示さなかったが、ラット胃平滑筋およびモルモット気管平滑筋に対し、セロトニンの用量作用曲線を高濃度側に平行移動させた。このことから、ナンテニンが平滑筋と血小板のセロトニン受容体を識別できる抗セロトニン薬である可能性が示唆された。また、抗アレルギーの目的で用いられるタイ産薬用植物Garcinia mangostanaから新しいタイプの抗ヒスタミンおよび抗セロトニン活性成分を得ることに成功した。抗ヒスタミン作用を示したα-マンゴスチンは抗セロトニン作用は示さなかったが、この脱メチル化類縁体であるγ-マンゴスチンは、対照的に抗セロトニン作用のみを示した。脱メチル化によって抗ヒスタミン作用から抗セロトニン作用に作用点が変わることは非常に興味深い結果である。また、この化合物は分子内に窒素原子を含まない抗ヒスタミン、抗セロトニン薬では初めての例であり、創薬のリード化合物として注目される。このように新しい医薬資源からの血圧降下剤のリード化合物をいくつか見出すことに成功した。
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