研究課題
基盤研究(B)
高血圧症が引き金となり動脈硬化を引き起こし、狭心症や心筋梗塞といった様々な循環器病の原因となっている。一般に高血圧の患者には血圧降下剤を連用しなければならないため、副作用の少ない治療薬の開発が社会的要請となっている。人類は、数千年前から動植物を病気の治療に用いてきた。また、現在汎用されている合成薬も元をただせば天然物由来のものが多い。伝統ある生薬や海洋生物などの天然資源から、リード化合物を見出し、種々の誘導体を合成し、副作用の少ない優れた血圧降下剤を開発することが本研究の目的である。我々は天然界からα-アドレナリン受容体やセロトニン受容体、あるいは筋収縮蛋白質系に作用する天然生理活性物質を数多く見出してきた。南天実のメタノールエキスから得られたナンテニンは、ラット胃平滑筋およびモルモット気管平滑筋、ウサギ大動脈平滑筋において、それぞれセロトニンによる用量-収縮反応曲線を高濃度側に平行移動させた。また、ラット大動脈平滑筋においてもフェニレフリンによる用量-収縮反応曲線を高濃度側に平行移動させたことから、α-アドレナリン受容体およびセロトニン受容体の両方を遮断する作用を持つことが示唆された。また、抗炎症の目的で用いられるタイ産薬用植物Garcinia mangostanaから新しいタイプの抗ヒスタミンおよび抗セロトニン活性成分を得ることに成功した。抗セロトニン作用を示したγ- マンゴスチンは血管収縮抑制作用を示しただけではなく、中枢神経系においても抗セロトニン活性を示した。また我々は、筋細胞の興奮収縮連関の鍵を担っている筋小胞体からのCa^<2+>放出機構に作用する化合物の中枢作用も検討した。
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