研究課題/領域番号 |
10557230
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
|
研究分担者 |
滝川 一 帝京大学, 医学部, 助教授 (70197226)
加藤 将夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30251440)
鈴木 洋史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80206523)
加藤 基浩 中外製薬株式会社, 薬物動態研究所, 研究主査(研究職)
中村 敏一 大阪大学, 医学部, 教授 (00049397)
|
キーワード | 細胞内挙動 / ドラッグデリバリーシステム / 生理活性蛋白質 / レセプター / エンドサイトーシス |
研究概要 |
前年度に引き続き肝細胞増殖因子(HGF)の体内動態機構とその制御について検討を行った。放射標識HGFを正常および臓器障害ラットに投与しその体内動態を解析したところ、障害臓器によらず肝臓が主要な分布臓器であった。また非標識体投与の実験から肝臓のクリアランスがいずれの障害時においても全身クリアランスの70%程度を占め、クリアランス臓器としての肝臓の重要性が病態時においても確認された。HGFのC末端に小胞体滞留シグナル、核移行シグナルなどを付与した遺伝子組換え体を作成し、ラット初代培養肝細胞系にアプライすることにより、その安定性を検討したところ、wild-typeと比較し若干の安定性が確認されたが劇的なものではなかった。昨年度の本研究から、エンドサイトーシス後のリソゾームにおける代謝については、シグナルの付与によりある程度回避することが可能であることが示唆されていた。従って本年度の結果は、エンドサイトーシスされたリガンドが再度表面にリサイクルする過程にさらなるdeviceが必要であることを示唆するものと思われる。蛋白質性薬物のエンドサイトーシス後の細胞内sortingについては、エンドソーム内でのレセプターからの解離が、その後のリガンドの運命を決める可能性が示唆されつつあることから、新たな蛋白質製剤としてレセプターからの解離の促進がターゲットとなりうるかを検討することとした。上皮成長因子(EGF)ならびに同じEGFレセプターに結合するTGF-alphaの解析から、両者のレセプターからの解離には顕著なpH依存性の違いが確認され、細胞内pHでレセプターから解離のしやすい後者の方がリサイクルされる割合の大きいことがクリアランス細胞である肝実質細胞で明かとなった。本研究テーマの今後の発展により、血中で安定な蛋白質製剤の分子設計基盤が確立されるものと考える。
|