研究課題/領域番号 |
10557231
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
影近 弘之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (20177348)
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研究分担者 |
首藤 紘一 厚生省, 国立医薬品食品衛生研究所・医薬品医療機器審査センター, センター長(研究職)
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キーワード | 核内受容体 / レチノイド / レチノイン酸 / レチノイドアンタゴニスト / チアゾリジン / チロイドホルモン |
研究概要 |
レチノイン酸の核内受容体RARおよびRXRに対する特異的リガンドのデザイン、合成を行い、そのレチノイドもしくはレチノイド作用制御活性を評価した。本研究者は既に数種のジアゼピン誘導体にRXRアゴニスト(レチノイドシナジスト)活性を見いだしていたが、その構造を展開した結果、ニトロ基、メトキシ基などの導入によってレチノイドアンタゴニストとなることを見いだした。これらの新規アンタゴニストはヒト白血病細胞を用いた分化誘導検定系においてレチノイド(RARアゴニストもしくはRAR、RXRアゴニストの併用)作用を抑制した。各種受容体を用いた転写活性化実験により、これらのアンタゴニストが従来のRARアンタゴニストとは異なり、RXRアンタゴニスト活性を持ち、RAR・RXRヘテロダイマーにおけるRXR側に結合することでRARアゴニストの作用を抑制することがわかった。RXR(ホモダイマー選択的)アンタゴニストは現在までに一例報告されているが、その化合物はRAR・RXRヘテロダイマーに対してはアゴニストとして働くので、本化合物は全く新しい作用を有するレチノドアンタゴニストである。 また、レチノイドの構造に必須な官能基であるカルボキシル基をチアゾリジン環で代替することが可能であることを応用して、チロイドホルモン骨格にチアゾリジン環を導入した化合物を合成したところ、チロイドホルモン受容体の転写活性化において天然のチロイドホルモンであT_3と同程度の活性を有する化合物を見いだした。ある種のチアリジン誘導体は核内受容体の一つであるPPARのリガンドとなることも報告されており、新規チアゾリジン誘導体が核内情報伝達系において特徴的な作用を発揮すると考えられる。
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