研究概要 |
アカジソとアオジソの葉から単離したpoly(A)^+RNAから3種のone-base anchored oligo(dT)primer(H-T11G,H-T11A,H-T11C)を用いてcDNAを作製した。このcDNAを鋳型としてcDNAの作製に用いたone-base anchorcd oligo(dT)primerと8種の任意13merプライマー(H-AP1〜8)を用いてPCR増幅を行った。PCR産物をシークエンスゲル電気泳動により分離し、33クローンのアカジソ特異的増幅断片を単離した。これらをプローブとして用いて、アカジソ特異的に発現する5クローンのcDNAを単離した。このうちクローンp3R4のcDNAインサートは460アミノ酸からなるポリペプチドをコードし、このアミノ酸配列は3GTを含むグルコシル転移酵素類と低い相同性を示した。さらにp3R4をプローブとしてバーベナ(Verbena hybrida)の花弁由来のcDNAライブラリーからp3R4と相同性の高いcDNAクローンpSHGT8を得た。 次に、これらのcDNAにコードされるタンパク質の生化学的機能を同定するために、酵母発現系を構築した。酵母抽出液中の組換えタンパク質は、UDP-glucose存在下anthocyanidin 3-O-glucosideをanthocyanidin 3,5-O-diglucosideに変換した。このことからp3R4とpSHGT8にコードされるタンパク質は5-GTであることが明らかになった。 また、サザンブロット解析の結果、5-GT遺伝子はアカジソとアオジソのゲノム中にそれぞれ2コピー存在することが示された。またノーザン解析の結果、アカジソの葉にのみ5-GT mRNAの蓄積が認められ、アオジソの葉には認められなかった。また、光照射によってシソのアントシアニン生合成に関与する他の構造遺伝子と同調的に誘導された。このことから、シソにおいて5-GTと他の構造遺伝子が共通の制御因子によって発現制御をうけている可能性が示唆された。
|