研究課題/領域番号 |
10557241
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
徳光 幸子 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (60001046)
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研究分担者 |
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
櫨木 修 広島大学, 医学部, 教授 (80142751)
村上 猛 北海道大学, 医学部, 講師 (50271656)
松岡 一郎 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (40157269)
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キーワード | 肥満抑制因子 / レプチン / ラット脂肪細胞 / 3T3-L1脂肪細胞 / ヒト肥満 |
研究概要 |
遺伝性の肥満マウスの発症原因が、脂肪細胞から分泌するレプチン遺伝子の変異またはレプチンの作用低下という異なった機構で説明されている。ある種の肥満型ラットでは、血中インスリン値は異常に高く、レプチンの著しい増加を伴い、さらに、TNFαも増加していた。この肥満ラットの場合には、レプチンの情報伝達系に異常があり、TNFαが関与したインスリン抵抗性が推定された。一方、肥満のヒトの血中のインスリンとレプチンを測定すると両者とも健康人に比べ高値を示すことが分かった。したがって、ヒトの肥満の場合は、ラットの場合と同様に、レプチンの情報伝達機能が低下していると推定した。 3T3-L1繊維芽細胞はインスリン、デキサメサゾン、IBMXを添加して培養すると脂肪細胞へ分化してレプチンを分泌するようになる。II型糖尿病の治療薬であるトログリタゾンは核内受容体のPPARγに結合してインスリンの作用を強めることが認められている。このトログリタゾンによるインスリン作用の増強はインスリンの情報伝達系の因子を増加させることも分かった。しかしながら、3T3-L1繊維芽細胞にトログリタゾンとインスリンを共存させ、脂肪細胞への分化を促進させると、レプチンの分泌がほとんど起こらなかった。この現象はトログリタゾンがレプチンのmRNA発現を抑制しているためであることも分かった。トログリタゾンがインスリンの作用を強めて脂肪細胞への分化を促進しているにも拘わらず、レプチン分泌を抑制していることの生理的意義は不明である。これらの研究の成果から、レプチンの作用がII型糖尿病の発症の予防と治療に貢献できるものと期待される。
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