研究課題/領域番号 |
10557248
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
寺岡 弘文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30019137)
|
研究分担者 |
山本 興太郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40000971)
矢野倉 美恵子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教務職員 (50143615)
高瀬 浩造 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (90211333)
|
キーワード | フローサイトメトリー / DNA切断端 / 細胞周期 / ベーター線 / アポトーシス / DNA2重鎖切断修復 |
研究概要 |
本研究の主たる目的は、外因的あるいは内因的な染色体切断を定量的に時系列測定できるようにすることにある。まず、本年度に購入できたフローサイトメター(Coulter社製EPICS XL System IIC)をアイソトープセンターに搬入し、[^3H]チミジンの細胞核内取り込みによるapoptosisの誘導と細胞周期、DNA切断端との関連を追究した。前骨髄白血病細胞HL-60やT細胞由来Molt-4に7.4〜185kBq/mlの[^3H]チミジンを加えて培養したところ、1〜2日で増殖抑制とヌクレオソーム単位のDNAラダー、caspase-3の活性上昇が認められる。そこでHL-60を使って、PI染色によるDNAヒストグラムパターンとDNA切断端(FITC-dUTP/TdT)を同時測定したところ、7.4kBq/mlの[^3H]チミジンではS期の細胞の割合の増加と弱いながらapoptosisが観察されたが、細胞周期はほぼ回転していた。しかし、74と185kBq/mlでは、S期の細胞の一過性の上昇と引き続くG2/M期停止さらにapoptosisへの移行が見られ、S期からG2/M期の細胞には対照に比べて数倍高いFITCシグナルが得られた。これは、低エネルギーβ線放出核種^3HのS期細胞核内取り込みによって、他の電離放射線と同様にS期からG2/M期にかけてのDNAに切断が生じ、それが細胞の修復能を越えた場合、S期の進行の遅れとG/2M期停止から細胞死に至るものと考えられた。 apoptosisの細胞で観察されるよりも一桁〜二桁も少ないDNA切断端を自動定量化するために、細胞がサンプルとして与えられた場合に、その細胞1個あたりのDNA切断数が得られるのに必要な総ての過程の確立を目指している。
|