研究課題/領域番号 |
10557253
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
高橋 伯夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (80094431)
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研究分担者 |
小林 幸司 セキスイ化学工業, メディカル研究所, 副主任研究員
桝田 緑 関西医科大学, 医学部, 講師 (50173753)
小宮山 豊 関西医科大学, 医学部, 講師 (40140264)
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キーワード | 内因性ジギタリス / ウアバイン / 培養細胞 / 副腎髄質 / 神経系 / プロゲステロン / 構造解析 |
研究概要 |
ラット副腎髄質由来の褐色細胞腫細胞株であるPCl2細胞の大量培養上清中のジギタリス様活性物質の抽出とその同定作業を行ってきた。これまで、成長因子の一つIGF-1がウアバイン様免疫活性物質の産生を促進することを見出していたが、著明ではなかったために収穫量を増加させる試みとして十分ではなかった。しかし、今回、ステロイドホルモン合成系の共通の基質であるプロゲステロンを用いたところPC12細胞が用量依存性にウアバイン様免疫活性物質の産生を増加させることを見出した。そこで、外因性のウアバイン様物質を排除する目的で無血清下でプロゲステロンを添加して培養し、その上清を大量集めた。これを粗抽出した後に5段階のカラム操作を繰り返して精製し、結局、約5つのウアバイン様免疫活性物質のピークをHPLCで確認した。しかし、構造解析が可能な約100μgの収量が得られたのは1つのピークであったため、今年度の段階では、この1種類についてLC-MSで解析した。その結果、この分画はウアバインそのものの構造と完全に一致した。すなわち、ウアバインの構造異性体でもないことを明らかにした。この成果の意味は、脊髄動物の細胞、特に神経由来の細胞が、植物が産生するウアバインを同様に産生することを世界で初めて明らかにしたものである。現在、残りの分画についても収穫を続け、物質の構造解明を試みつつある。また、同時に食塩負荷したラットの尿を採取し、同様に精製純化した分画において、食塩負荷で増量する物質の構造解明を優先して行う準備を進めている。
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