研究課題/領域番号 |
10557254
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 泰子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30107669)
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研究分担者 |
佐藤 鈴子 大分県立看護科学大学, 助教授 (00272427)
遠藤 美代子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10292723)
竹下 朱美 東陶機器, 商品研究所, 研究員
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キーワード | 看護ケア / 手指付着細菌 / 酸性電解水 / 除菌効果 / 手指洗浄 / 手洗い |
研究概要 |
看護領域では、感染防止のために患者ケア前後における手指洗浄は欠かせない。しかし頻回の消毒剤使用や石鹸洗浄による手あれの問題は深刻である。そこで、除菌効果が高くかつ手が荒れにくいとされる酸性電解水を手指洗浄に使用した場合の除菌効果と、皮膚に対する低刺激性を実証し、臨床看護場面での使用の可能性を検討することが本研究の目的である。本年度は、次に示す3項目について検討した。 先ず、手洗いに使用するために最も適した酸性電解水の条件、即ち出来るだけPHが中性に近く、かつ残留塩素濃度が低いが、皮膚常在菌の除菌効果を示すという性質を有している酸性電解水の条件を設定するための検討を行った。方法は、皮膚常在菌の一つであるStaPhylococcus aureus(長期継代の標準株)を手に付着させ、いろいろな条件の酸性電解水を用いて、一定の方法で手洗い後、残存菌を定量して比較した。その結果は、PHが6、残留塩素濃度が20ppm以下でも除菌効果があることが明らかになった。 そこで、この条件を満たす酸性電解水を製造する酸性水生成器PFS400A(東陶)を用いて、実際に手洗いを行った時の除菌効果を、石鹸・流水による手洗いの除菌効果と比較した。手洗いの条件は、酸性電解水が30秒、石鹸・流水は石鹸15秒・流水15秒の計30秒とした。結果は、除菌率で比較すると、酸性電解水が71%であるのに対して、石鹸・流水では62%であり、若干ではあるが酸性電解水の除菌率が高かった。 通常の手洗いでは、常在菌はあまり除去されないばかりか増加する場合もあるので、次に看護ケアによる手指汚染と通常の方法による手洗い後の洗浄効果を明確に示すための検査法を検討した。これは各種看護ケア前後、および手洗い後に、湿った滅菌ガーゼで手掌全体を拭き、その付着菌を定量するという方法である。本方法は、大変に手間が掛るが、良い結果を得ており、現在継続して検討中である。
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