研究分担者 |
伊藤 晋彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 治療学部, 研究助手
渡壁 誠 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 治療学部, 研究員 (70182946)
赤滝 久美 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 治療学部, 研究員 (30280811)
中山 治己 東海テクノ(株), 技術部・部長
鈴木 伸治 済生会伊豆医療福祉センター, 施設長
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研究概要 |
筋は単に力を発生するのみならず,柔軟な動きをする弾性的な機能と適度なダンピングをする粘性的な機能を併せもっている。さらに,筋肉の粘弾性機能が優れている点は,その強さつまり粘弾性係数が機械のように一定でなく,脳からの命令によって自由に変化することである。本研究では,筋の可変粘弾性特性を運動生理学の手法を用いて分析すると共に一つの制御システムとして記述し,これを手がかりに筋の粘弾性機構を模擬したアクチュエータを開発する。さらに,この機構を高齢者・障害者など低体力者の安全な筋力リハビリテーション装置として利用することを目指した。 本年度は,これまで研究開発してきた筋の粘弾性特性を模擬したアクチュエータを応用し,高齢者や障害者など低体力者の安全な筋力トレーニング装置を検討することにした。そこでは急激な力変化が起きにくい粘性抵抗を利用した運動様式に着目し,粘性負荷型筋力トレーニング装置なるものを考案した。つまり,粘性抵抗は油や水など自然界に広く存在し,水泳や漕艇はこれを利用したスポーツといえる。しかし,粘性抵抗に対する運動に関して,等張性や等速性収縮のように系統的な研究は行われていない。本研究ではこの運動様式を等張性収縮と等速性収縮の中間型と位置づけ,等粘性収縮と名付け,その力学的特性を比較分析した。その結果,等粘性収縮は等張性や等速性収縮でみられる運動前後あるいは運動中の急激な力変化がなく,滑らかな運動が可能であることが明らかとなった。また,いずれの負荷強度においても広い範囲の運動が可能であり,かつ,この全域で規定した運動を遂行できた。これらの優れた特徴は高齢者・障害者・疾患患者など低体力者のトレーニングやリハビリテーションにおける安全な運動負荷装置になるものと考える。
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