平成10〜13年度入学の1年生に対して、教材(実際の分子模型をデジタルカメラで撮影した静止映像)をスライドショーとして映写し、HGS型分子模型の原子の区別と結合の長さ、角度、種類を短時間で認識し、理解できるように学生に見せた。それとともに分子モデリングソフトのCAcheを用いて画面上で分子の組み立て、出来上がった分子の回転、並進、拡大縮小をしながら分子の説明を行った。また、組み立てた分子モデルを描くために、教具として丈夫で色のついた"原子テンプレート"(紙製定規)を使って実習を行った。40人を2グループに分けて別々に授業を行うことで、学生の組み立てと作図の進度の幅を縮小することができた。やはり、40人を1人で担当するのは困難であり、20人程度がちょうどよさそうであった。しかし、分子モデルの実験を各3時間ずつ2回にわたり実施すると、2回目には学生が教材に対する新鮮みを持たなくなり、飽き始めることが明かとなった。 3年生の生物化学の授業の中で分しモデリングソフトを用いた立体画像を映写することを2回の授業で行ったが、それだけでは十分な効果は期待できず、実験で各人が十分実習することが必要と考えられた。 5年生の生物工学実験では、少人数(3人一組)で生体分子のモデルをコンピューター分子モデリングで作成する実験を試みた。また、別に分子模型を手で組む実験も同じ5年生に対して実行した。先に分子モデリングソフトを使用したグループと先に分子模型を手で組んだグループとを比較すると、後者の方が分子の立体構造の把握の理解度が高いことが明かとなった。 最終年度の本年度で、立体化学の教育システムが確立できたと考える。
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