研究課題
本研究の最終年度である本年度の研究実績の概要は、以下のとおりである。「科学技術日本語論文作成支援システムの開発と評価」昨年度の研究実績である「科学技術日本語論文構造解析システム」と連携したシステムとして、「科学技術日本語論文作成支援システム」を開発し、その評価実験を行なった。本システムの特徴としては、(1)学習者が画面を見ながら論文の章立てを設定してゆくことができる「章立て構造入力機能」、(2)学習者が論文を書くために必要とする「結束表現」のカテゴリー(仮定・条件、定義、比較、原因・理由など)を選択すると該当するカテゴリーの例文を表示する「基本的表現検索機能」、が挙げられる。日本語文の結束表現の分類は、「構造解析システム」の開発時に作成したルールベースを用いた。学習者に提示することができる基本的表現は、あらかじめ作成した科学技術日本語論文コーパスに対して「構造解析システム」のルールベースを適用し、その解析結果をもとにして自動的に抽出した。本システムでは、自動的に抽出した表現のうち正しく分類したものを「基本的表現」とし、表現ごとに出現確率を定義して、検索結果を制御している。さらに、日本人学部学生および留学生を対象にした本システムの定性的評価では、科学技術論文作成の場面で、既存のワードプロセッサがもつ「アウトライン機能」「文章校正・表記ゆれチェック機能」よりも、本システムの方が有効であるとの結果を得た。
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