研究概要 |
1.情報に関する授業記録データベースが作成された 今年度の該当する授業については,毎時間の学習課題をデータベースに記録し,だれでも参照できるようにした。各課題レコードは,課題タイトル,課題の内容,出題意図,操作課題,授業名,教官名などの項目からなる。本研究期間の間に,181件の授業が記録され,約500件の課題が蓄積された。これらは,電子メールの設定などのように全クラスに共通する課題,あるいは,音楽の作曲などのように特定の専攻に限られる課題などから構成されている。 2.課題事例データベースが作成された 類似の課題をまとめるなど,上記授業記録データベースの課題を整理して,課題事例データベースを作成し,Web上で参照できるようにした。これにより,授業のクラスや担当教官を越えて,学習課題を共有できるようになった。このことの効果は本研究期間内には分析ができていないので今後の課題である。また,出題意図のデータは,将来教員になることを予定している学生にとっても参考となることが期待されているが,この取り組みも今後の課題である。 3.学習課題の分析から情報教育の現状に関する知見が得られつつある 授業記録データベースの課題をカテゴリー化して分析を行った。コンピュータの基本操作の占める割合が高く,小・中学校の教科でコンピュータをどのように活用すべきかについての課題は,まだ多いとは言えない傾向が見られた。 4.全学生の教育実習時の学習指導案がWeb上で公開されるようになった 情報教育によって,htmlおよびpdfを利用して,自分の指導案を公開できる実践力が身につき,現在,全ての学生の指導案約900件がWeb上で公開されている。 5.教員養成系大学における情報教育への示唆 各専攻が実践的に取り組んだ成果を報告書として編集中である。ここには,専攻独特の情報教育の成功例が示されている。免許法で指定されている2単位では,教員としての情報教育には無理がある。現状においては1年次で基本操作,2年次で教育における実践事例の紹介と,教育に関連するソフトウェアやコンテンツの学習,3年次での教育実習におけるコンピュータ利用の経験,4年次における教科および総合的な学習の時間のためのコンピュータ活用の指導計画立案など,全学年を通しての体系的なカリキュラムが用意されるべきであろう。米国では教員をめざす学生が達成すべきスタンダードが示され,学生はポートフォリオによってそれを示すことも行われている。
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