研究課題/領域番号 |
10558034
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
外池 俊幸 名古屋大学, 情報メディア教育センター, 教授 (80180157)
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研究分担者 |
加藤 久雄 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (40135827)
大室 剛志 名古屋大学, 言語文化部, 助教授 (70185388)
石崎 雅人 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教授 (30303340)
佐川 雄二 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (90242833)
菊田 千春 同志社大学, 文学部, 助教授 (40278453)
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キーワード | 生成的辞書 / レキシコン / 日本語 / 文法 / 統語論 / 形態論 / 語彙意味論 / 運用論 |
研究概要 |
本研究の平成11年度の研究の目的は以下の2点であった。 (1)日本語教育にも言語学的な研究のためにも必要な、Pustejovskyの言う「言語の創造的使用」を、文法のモジュール間の関係を明確に仮定して、具体例を基に必要な分類項目とその特徴を明らかにし、その分類に基づいたタグを提案する。 (2)ホームページ上で、JAVAを用いて生成的辞書を構築する。 この目標達成のために、以下の三つの班に分かれて研究を行う計画を立てた。 (1)文法モジュールごとの問題の検討 (2)隣接領域からの検討 (3)WWW上での生成的辞書の実現 しかし、文法の個別モジュールに属する現象の分析に時間を取られ、主として(1)に属する研究の遂行が中心となった。その原因は、研究の目的の(1)の中に掲げた『文法モジュール間の関係を明確に仮定して』という前提そのものが持つ問題であった。やはり、文法を構成する各モジュールは、相互に柔軟な関係を持っており、そこをどう捉えるかという言語研究の難しさを改めて感じるという結果になった。その点は、杉本(1999)の研究に端的に現われている。日本語の受動文の成立自体が、統語論の枠内に納まらず、意味論、運用論、談話文法などに関わる制約の中で成立することを明らかにした。 また、Hagit Borerは、平成12年2月末から3月にかけて神田外語大で行ったThe Impoverished lexiconと題した連続講義で、項構造(argument structure)やカテゴリータイプは、リストされた項目の属性ではなく、構造がもつ属性であると主張した。レキシコンへの負担を大きくする方向と同時にBorerの示唆する方向での検討も最終年度は行う予定である。
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