研究概要 |
本研究は,以下の3つのテーマからなる: 1.ボリューム・レンダリング専用並列計算機ReVolver/C40 次世代マルチメディアサーバのための可視化機構として,ボリューム・レンダリング専用並列計算機ReVolver/C40のプロトタイプを開発した.ボリューム・データを直接的に可視化するボリューム・レンダリングは,メモリにおけるバンク・コンフリクトのため,リアルタイムでの描画は難しかった.ReVolver/C40は,バンク・コンフリクトが発生しないメモリ・システムを持つ.開発したプロトタイプの実測データから,ReVolver/C40は,毎秒約6フレームでの描画が可能であることが分かった. 2.制御駆動とデータ駆動を融合したプロセッサ・アーキテクチャ 次世代マルチメディアサーバのためのプロセッサ・アーキテクチャとして,Dualflowを提案した.本アーキテクチャは,レジスタを定義せず,データを命令間で直接受け渡す.その結果,スーパースカラーではCAMとして実装される命令スケジューリングのロジックをRAMに置き換えることができ,この部分がクリティカルとなることを回避させることができる.コンパイラを作成し,SPECベンチマークを用いて評価を行なったところ,無用な命令が大量に挿入されてしまい,更なる最適化が必要であることが分かった. 3.Java Byteconde実行の高速化 次世代のマルチメディアサーバでは,Java Bytecodeの高速実行が不可欠である.本研究では高速化の手法として,特に,Value Look-aside Bufferを提案した.Value Look-aside Bufferとは,過去の実行における実行前後の状態を組み合わせて保存しておくもので,実行前の状態がバッファの内容と一致した場合に,実行後の状態に置き換えることで,途中の実行を一切省略してしまうことができる.シミュレーションによる評価によって,最大47.1%もの高速化が達成されることが分かった.
|