イベント-アクション・モデルを用いたビデオ・データベース内容検索システムの開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10558053
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 渡辺 豊英 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80093342)
• 研究分担者: 牛尼 剛聡 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助手 (50315157) ; 朝倉 宏一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80273283) ; 加藤 ジェーン 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70251882)
• キーワード: ビデオ・データベース / ハイパービデオ / 類似検索 / 確率モデル / ブラウジング / 意味表現 / 概念階層 / 野球録画データ

研究概要

最終年度の今年度は、イベント・アクション・モデルの上に開発された動画像検索システムSTRIKEの機能アップについて対処した。特に、類似シーン検索とハイパービデオ・ブラウジングについて検討した。野球録画ビデオ・データベースを内容検索の対象として、よりユーザの意図に合致したビデオ・シーンを効果的に同定するという課題である。
類似シーンの検索手法では、シーンに観察されるオブジェクトの特性やオブジェクトの相互作用によって構成される活動を概念の改装構成として構造化を図り、その概念構造によってシーンの類似関係を管理し、検索する方法を明らかにした。また、シーンに発生するイベントの遷移関係に基づいてイベントが有する情報量、エントロピーを計算し、フレーム間における個々のイベントが有する出現確率値に基づいて、類似性を定義して類似シーンを同定する方法を実証した。
一方、関連すると予想できるシーン間のイベント系列を相互に意味付けて、同類と思われるシーン間をイベントの出現確率に基づいて計算し、ハイパー・データを探索するかのように関連するシーンをユーザの視点に基づいて検索可能とする枠組みと機能を実現した。
これらの機能、手法は既開発済みのSTRIKEの内容検索機能の一つとして組み込むことができた。これにより、少なくとも今までシーン単位にインデックス付けされ、予め決められたシーンからのみ検索する方法に対して、ユーザが自分の視点(シーンに対する興味となるオブジェクト、イベント、及びその変化、系列)から、効率よく該当シーンを抽出する方法を明らかにした。これを可能とする基本的な枠組みはフレーム単位に与えられているイベントをオートマトンの受理機構に従って操作するSTRIKEの特徴に依存している。

研究成果

• [文献書誌] 牛尼剛聡,小坂健,渡辺豊英: "ビデオ・データベースにおけるトップダウン処理に基づく効率的な類似シーン検索に関する考察"電子情報通信学会データ工学研究報告. 2000-05. 1-8 (2000)
• [文献書誌] 小坂健,牛尼剛聡,渡辺豊英: "動画像データベースにおける確率モデルに基づく類似検索"2000年電子情報通信学会情報・システムソサイエティ大会論文集. D-4-4. 39 (2000)
• [文献書誌] 牛尼剛聡,渡辺豊英: "意味内容に基づくビデオ・データベース・ブラウジングのためのハイパービデオ・モデル"情報処理学会第61回(平成12年後期)全国大会論文集. 2. 11-12 (2000)
• [文献書誌] K.Kosaka,T.Ushiama,T.Watanabe: "Similar-Scenes Retrieval in Video Databases Based on Probability Model"Proc.of VSMH 2000. 354-361 (2000)
• [文献書誌] T.Ushiama,J.Suzuki,T.Watanabe: "Design and Implementation of a Video Database System Supporting.Semantic contents-Based Scene Retrieval"Proc,of VSMH 2000. 617-626 (2000)
• [文献書誌] 牛尼剛聡,渡辺豊英: "ハイパービデオを利用したビデオ・データベースの意味構造に基づくブラウジング手法"2001年データ工学ワークショップ. (2001)