研究課題
平成11年度は、平成10年度の研究成果を踏まえて、概念の出現頻度に付与している重み係数の最適化、および検索エンジンをより高速なものに変更することを行った。さらに、英語の科学技術論文についての概念抽出を行った。その結果、日本語のキーワードで英語の科学技術論文を検索することや、英語のキーワードで日本語の科学技術論文を検索することが可能であることが実証でき、それを実装したシステムの構築を行った。また、概念辞書に存在しない学術用語への対応策の検討も行った。概念辞書に存在しない学術用語については、その出現の頻度、出現する論文に含まれる概念などをもとにして、統計的手法を用いて学術用語が持つ概念を推定することが考えられる。これに似たアプローチとしては、米国イリノイ州立大学などでも行われている。しかし、このような方法で推定した概念を、既存の概念辞書が基礎としている概念体系に当てはめることが難しい、高い精度で推定する方法を研究することが今後の課題となった。学術論文からの概念の抽出結果についての評価も行った。その結果はおおむね良好なものであり、本研究で提案した概念抽出方法は有効なものであることを確認できた。また、作成した概念検索システムは、ユーザインタフェースの点で改善すべき余地があるものの、本研究で提案する手法により現実的な概念検索を実現できることが分かった。また、本研究で提案する概念検索と既存の全文検索とを比較し、全文検索では不可能な意味による検索が可能であることを示すことができた。
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