研究課題/領域番号 |
10558064
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
関口 秀俊 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50226643)
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研究分担者 |
相田 隆司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00262262)
渡辺 隆行 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (40191770)
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キーワード | 無声放電 / 揮発性有機化合物 / ベンゼン / 触媒 / オゾン |
研究概要 |
この研究は新しいVOC処理技術の試みとして、大気圧無声放電を用いた低温プラズマでVOCの処理を行うものである。さらにここではプラズマ中に触媒を置くことで、プラズマ-触媒相互作用を利用した方式で処理することを試みるものである。今年度は、昨年度の結果を踏まえ、触媒の影響を多方面から調べた。まず、触媒に白金担時アルミナ触媒を用いて、ベンゼンを分解した。その際、ベンゼン濃度や白金担時量を変化させて実験を行った。その結果、低濃度になるにつれて触媒の効果が顕著に現れた。また、白金担時量では、転化率は大きく変化しなかった。生成物について検討した結果、フェノールらしきピークが購入したGC-MSによりわずか確認されたが、それ以外の有害な物質は観測されなかった。また、主生成ガスは、CO,CO2が確認されたが濃度が低く定量まで至らなかった。一方、放電により相当量のオゾンの生成が確認された。放電条件で生成量は大きく変化するものの、ベンゼン分解率とは相関が見受けられず、オゾンの生成はベンゼンの分解に大きく影響していないと考えられた。しかしながら、触媒によりオゾンは分解されており、少なくともオゾンとの触媒の作用は確認された。長時間実験を行うと触媒活性が低下し最終的に触媒の効果が見られなくなった。この触媒活性の低下は白金担時量が低いほど早く発現した。触媒上には黄色の物質が触媒上に付着し、この物質が触媒を覆うためであると推測された。したがって、これを除去する必要があると考えられる。一方、酸化バナジウム触媒を利用して同様の実験を行った結果、触媒自身でも反応活性を示すものの、プラズマを併用した場合には良好な結果を示し、さらに被毒の影響も少ないと入った結果が得られた。以上を総括して、プラズマ-触媒相互作用を利用したVOC分解は効果的であり、低電力で選択的に低濃度有害物質を分解する方法として有効であるといえる。
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