研究概要 |
トリチウム取扱施設での実験装置や実験室の排気形に連結されるトリチウムガス捕集装置としては貴金属触媒あるいは金属酸化物触媒を高温で用いる酸化吸着法が主に研究されている。これらでは加熱や除湿の前処理操作が必要になる。本研究では、強いトリチウムガス酸化能を持つ土壌細菌をバイオリアクターに用いその水素酸化酵素の働きにより取扱施設の事故時に常温常圧で安全且つ安定した性能を持つようなトリチウムガス捕集装置の開発を目的として、菌株の検索とトリチウムガス酸化能を最も強く発現するような培地や生育条件の検討を行うとともに、バイオリアクターを組み込んだトリチウムガス捕集装置を作成し、トリチウムガス酸化の性能を検討した。青森県の土壌から分離したトリチウムガス酸化活性の高い菌株の中から選択した2菌株と鳥取砂丘の土壌からの分離菌株から選択した3菌株について3〜4種類の培地で生育条件と酸化活性の関係を調べ、それぞれ1菌株をバイオリアクターに適する特性を持つ菌株として選択し、また用いる培地はISP4培地が最適であることを明らかにした。これら2菌株をポリプロピレンプリーツフィルターを担体としてISP4培地でバイオリアクター化し、その保存性について検討した。すなわち2菌株を担体に固定化し30℃10日間培養後、バイオリアクターを密封して30℃または4℃で長期間保管した時のトリチウムガス酸化活性の変化を調べたところ、活性は徐々に低下するものの、30℃で2ヶ月程度、4℃では5ヶ月程度かなりの活性が維持されることが明らかになった。バイオリアクターのトリチウムガス酸化の性能試験を行った。小型のバイオリアクターであるので,流速が低いところでは十分な酸化性能を示したが、流速を20倍に上げた時、酸化性能は非常に低下した。
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