固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)は燃料のギブス自由エネルギーを直接電力に変換する高効率な発電システムであり、大型発電だけでなく、電気自動車用の電源などの小型発電にも期待が高まっている。現在、燃料に水素を用いたSOFCの研究が数多く報告されているが、燃料供給の利便性やさらなる効率の向上を考えると、炭化水素を水蒸気添加せずにドライメタン燃料として用いることが望まれる。その電極開発では燃料を希釈した実験から多くの知見が得られるものと期待できる。しかし、燃料極特性の燃料分圧依存性はそれぞれの報告で異なる依存性が示されている場合が多く、そのメカニズムについてはH_2燃料においても確立されていないなかった。昨年度は、ドライメタンを燃料としたSOFC開発の前段階として、燃料にH_2を用いて各燃料分圧、操作温度における燃料極過電圧を測定し、燃料極過電圧のH_2分圧依存性を検討し、すでに報告されている実験結果も含め全てを説明しうる包括的な燃料極反応機構を提案した。本年度は、実際に希釈したドライメタン燃料を用いて発電実験を行い、水素燃料の場合と比較することでその反応機構の提案を行い、ドライメタン燃料を用いた電極開発のための指針を得ることができた。
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