研究概要 |
本研究は、1000℃以下での太陽熱/化学エネルギー転換を目的として、金属酸化物を反応媒体とする、下記の1,2の2つの熱化学サイクルの検討を行うものである。高活性の金属酸化物redox系を見出すことが第一の課題である。従来研究してきたFe_3O_4に他金属イオンをドープし、反応活性を向上させる方法があるが、本年度は、これにこだわらず、まず熱力学的な計算から金属酸化物redox系の候補を広く選び出し、赤外線イメージ炉を熱源とした反応試験装置で、その反応活性を調査した。 1, (メタン改質サイクル)CH_4+M_xO_y→M_xO_<y-m-n-1>+(1-n)CO+nCO_2+(2-m)H_2+mH_2O (1段目) M_xO_<y-m-n-1>+(m+n-1)H_2O→M_xO_y+(m+n+1)H_2 (2段目) 候補となった6種の金属酸化物の反応性を固定床方式で調べ、(WO_3/W)redox系がで最も高い活性(800〜1000℃)を有することを見出した。WO_3/ZrO_2坦持体(坦持量50wt%)では60%の高いCO収率が得られた。しかし水分解反応時に固相が集塊を起こす等の問題があり、今後はFe_3O_4との複合化、最適坦持量等を検討し改善する。 2, (メタンカップリング/水素製造サイクル)2CH_4+M_xO_y→C_2H_4+M_xO_<y-2>+2H_2O (1段目) M_xO_<y-2>+2H_2O→M_xO_y+2H_2O (2段目) 候補となったFe_3O_4,WO_3,SnO_2の活性を固定床方式で調査した。SnO_2/SiO_2坦持体力高い活性を示し(850〜900℃)、従来の酸化的メタンカップリングの2〜10倍の速度でエチレンが生成することが見出された。しかし、サイクル特性に問題があり、今後はFe_3O_4等の他の他金属酸化物との複合化による改善を検討する。 3, 並行してXeアークランプ集光炉を熱源とする集光太陽光シュミレーション装置を製作し、ほぼ完成させた。
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