研究課題/領域番号 |
10558075
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
高橋 正氣 岩手大学, 工学部, 教授 (50003851)
|
研究分担者 |
森下 和功 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (80282581)
葛西 直子 電子技術総合研究所, 主任研究官
豊岡 了 埼玉大学, 工学部, 教授 (90019753)
山田 興二 埼玉大学, 工学部, 教授 (30008875)
宮 健三 東京大学, 工学部, 教授 (30011191)
|
キーワード | 非破壊検査 / 金属疲労 / 転位 / 磁性 / 原子炉圧力容器 / SQUID / 磁化過程 / バルクハウゼン効果 |
研究概要 |
これまでの金属疲労の非破壊検査は亀裂の発生とその進展が主なものであったが、本研究では亀裂ができる前の材料劣化を非破壊的に調べるための基礎研究を行った。すなわち、転位を定量的に非破壊検査するための研究である。転位の非破壊検査は転位と磁性の相関を利用して間接的に調べる方法が最も有力である。その検査対象を原子炉の寿命を決定する圧力容器とその周辺機器のSUS304ステンレス鋼にした。圧力容器の材料はA533B鋼で低炭素鋼である。初年度はA533B鋼に塑性変形を加え、レーザースペクトル干渉測定による巨視的変形機構の同時測定と磁気的な物理量の変化を調べた。また、電子顕微鏡により結晶の内部組織の観察も行った。A533B鋼は塑性変形を加える前から高密度の転位が存在しており、観察結果から2x10^<10>cm^<-2>である。磁気的な測定としてヒステリシス曲線、SQUIDによる磁力線の観察、バルクハウゼン効果による磁壁移動と転位の相互作用の測定である。レーザースペクトル干渉測定によってリュウダス帯の発生と進展が観察され、このリュウダス帯による転位の不均一分布がSQUID磁気測定及びパルクハウゼンで確認された。引っ張りに伴う塑性変形によりヒステリシス曲線も大きく変化することを確かめた。今回はMax-Planck研究所で基礎づけられた結果を下に解析を行った。663MPaの外部応力を加え7.5%歪ませた試料では保磁力は変形前の60%増加する。外部応力と保磁力との間には簡単な相関が存在することも確かめた。もう1つ転位に敏感な量として飽和漸近領域に於ける磁化率が知られているが、反磁界の効果、高い測定磁場などから非破壊検査に応用することが困難である。保磁力より高感度でしかも非破壊検査に応用することが可能な新しいパラメータが必要であると結論付け、その発見を次年度の目標とする。
|