研究課題
本研究は、原子力施設内の汚染物質表面にレーザーを照射し、表面に付着した放射性物質のみを融解、蒸発し除去するレーザーアブレーション除染技術を実用化することを目的としている。そのためのレーザーのパルス幅、波長、強度等の最適化を、実験及びシミュレーションにより行ってきた。レーザーアブレーション除染技術の実用化のためには、(1)レーザーアブレーションによる除染性能の確定、(2)飛散物質の回収技術の確立、(3)高出力レーザーの長距離伝送技術の確立、の3点が重要である。融解、蒸発の効果も取り入れ、熱伝導方程式を解いて温度分布を決定し、厚み方向のみの1次元のシミュレーションを行い、実験と比較することにより、除染性能の確定を行った。また、飛散物質の回収に関する基礎実験を行い、蒸発した粒子が大気中を数cm飛散する際に凝縮し、1〜10μmの粒径になっていることを見い出した。ファイバー中の高出力レーザー光の伝送、集光実験も現在進行中である。本年度半ばまでは、ミクロパルス幅が20psのモードロックレーザーを用いて実験を行っていたが、ファイバー中の高出力レーザー光の伝送の際に、ミクロパルス幅が100psのモードロックレーザーの方が伝送効率が高いことが分り、本年度後半からは、ミクロパルス幅が100psのモードロックレーザーを用いた実験を行っている。プラズマの発生過程からその運動までを正確に取り入れたコードの開発中である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)