研究課題
基盤研究(B)
本研究は、原子力施設内の汚染物質表面にレーザーを照射し、アブレーションにより表面に付着した放射性物質のみを除去するレーザー除染技術を実用化することを目的とし、そのためのレーザーのパルス幅、波長、強度等の最適化、高出力レーザーの長距離伝送技術の確立、飛散物質の回収技術の確立を、実験及びシミュレーションにより行ってきた。レーザーアブレーションによる除染性能の確定のために、融解、蒸発の効果も取り入れ、熱伝導方程式を解いて温度分布を決定し、厚み方向のみの1次元のシミュレーションを行った。本研究では、ミクロパルス幅が20ps、及びミクロパルス幅が100psのモードロックレーザーを用いて実験及びシミュレーションを行った。ファイバー中の高出力レーザー光の伝送に関し、ミクロパルス幅が100psのモードロックレーザーの方が伝送効率が高いことが示された。除染効率、伝送効率の双方を考慮し、ミクロパルス幅が100psのモードロックレーザーがより最適である、事を示した。また、飛散物質の回収に関する基礎実験を行い、蒸発した粒子が大気中を数cm飛散する際に凝縮し、1〜10mmの粒径になっていることを見い出した。さらに高速シールドガス等による強力な冷却が不要であり、二次的生成物が極めて少ない事を実証した。飛散物が粒子状であるので制御が可能であり、飛散する放射性物質の回収が効率良く行われる。この時の回収率はほぼ100%近い。回収はフィルターで行うことができ、処理は容易である。プラズマの発生過程からその運動までを取り入れた除染シミュレーシヨンコードも開発した。
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