研究課題
小型気球で放球が可能な小型計量の成層圏大気サンプラーの開発を目指して、高圧ネオンガスの断熱膨張から寒冷を発生させる小型クーラーの性能試験と低圧大気採取実験を継続している。これまでに、小型クーラーに液体窒素温度まで予冷した高圧ネオンを導入することによって、高圧ネオンガスをその液化点まで冷却すること、そして発生した寒冷を用いて圧力範囲が5〜120hPaの窒素ガス及び5hPaの大気試料を固化・採取することに成功したが、120hPa以上の圧力において大気試料の採取ができないという問題が生じていた。本年度は、新たに設計・製作したクライオフィンを小型クーラーに取り付けて低圧大気試料の採取実験を行い、様々な圧力における本システムの採取効率と採取特性を調べた。その結果、新型のクライオフィンを用いることによって、これまでは不可能であった120hPaを超える圧力において大気試料の採取に成功した。また、25、60、120、200hPaにおける試料大気の質量流量を測定することによって、圧力が60hPa以下の場合と120hPa以上の場合でその時間変化に大きな違いがあることが明らかになった。すなわち、60hPa以下の場合には、大気試料の採取量は採取時間に比例するのに対し、120hPa以上の場合の採取量は、クライオフィン部の表面積に比例すると考えられる実験結果が得られた。今後は、更にクライオフィン部の構造を工夫して採取効率の向上を計ると共に、本システムの実用化を目指す。
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