研究課題/領域番号 |
10558092
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
小林 高臣 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (90225516)
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研究分担者 |
諏訪 正明 中越酵母工業株式会社, 合同研究室, 課長(研究職)
武田 毅 中越酵母工業株式会社, 合同研究室, 係長(研究職)
藤井 信行 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (50011119)
高橋 和夫 中越酵母工業株式会社, 合同研究室, 取締役(研究職)
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キーワード | 超音波 / 膜分離法 / 音圧 / 水処理 / 膜 / 透過率 / 廃液処理 / 洗浄 |
研究概要 |
本研究は、膜を利用した廃液処理において膜の処理能力の経時的な低下を超音波処理を施すことにより回復させることを念頭に行われてきた。水処理膜としてはポリフッカビニリデン精密濾過膜、ポリアクリロニトリルおよびポリスルホン限外濾過膜を使用し、合成廃液として粘性のあるデキストラン水溶液やポリアミノ酸であるペプトン水溶液を用い、クロスフロー濾過を行った。経時的に、濾過物の膜表面での堆積により濾過特性が劣化するが、この状態に共振周波数、28、45、100kHzの超音波を照射し、膜透過速度の回復を調べた。この結果、28及び45kHzの周波数の時に洗浄効果があることが確認できた。この効果を調べるために、YAGレーザーを用いた気泡測定を行った結果、低周波によるキャビテーションのために無数の空洞泡が水中に生じこれにより膜表面が洗浄されていることが判明した。 さらに、溶質の違いにより超音波の効果が異なることも見いだした。デキストランの粘性溶液の場合には超音波を濾過当初から照射することにより濾過物の堆積による濾過特性の低下が起こらないことが明らかになった。すなわち、超音波を照射すると水の体積流束とほぼ等しくなり、堆積物の膜抵抗がほぼ無視できることが明らかとなった。この現象でも共振周波数が28kHzの場合に効果的であり、超音波強度の高いほどソノ効果は大きいことがわかった。 この超音波効果を超音波の評価という観点で眺めた場合、低周波の超音波周期は、パルスジェネレーターで計測したところ23kHzの発振周期であることが判明した。また、45、100kHzではいずれも振動子の発振周期で超音波が伝播していることが確かめられた。膜フォルダー内の超音波強度をその温度上昇により評価するといずれの周波数の超音波でも水浴槽内の強度よりも1000倍小さくフォルダーにより超音波が遮蔽されていることがわかった。この結果より、周波数依存性の場合に観察できた超音波強度の順では28kHz出力の場合が最もその強度が少なくソノ効果は、単に強度だけではなく汚れて詰まった膜を励震させる適当な周波数が存在することが裏付けられた。
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