研究概要 |
(1)マナマコ底泥摂餌機能を活用し,富栄養化した海域の底質改善効果について検討を行った.その結果,底泥中の硫化物,有機物,リンは除去されることが示された.特に硫化物の除去効果は顕著であり,それはマナマコが底泥を摂餌することと底質を攪乱することによる相乗効果によって生じていた.また有機物は摂餌による効果の他に,底質攪乱によって溶存酸素が底質に供給され,好気性分解活性が高められることの効果も大きいことが示された.つまり,他の生物の活性にも影響を与え,底泥中の物質の循環を促しているといえる. (2)多孔質担体であるポーラスコンクリートの空隙をゴカイの生息場として活用し,個体数維持することを試みた.その結果,骨材粒径13-20mm,空隙率30%のポーラスコンクリートがゴカイの生息場として優れていることがわかった.このときの強度は10MPa以上で,実用面でも問題がないことがわかった. (3)混和剤として人工ゼオライトおよぴ高炉スラグ微粉末を使用し,強度や浄化機能を高めたポーラスコンクリートの開発を目的とした.その結果,圧縮強度はゼオライトの混入率20%まで,高炉スラグの混入率50%までは無混入のものより増加した.ゼオライトを混入すると,全リン,全窒素をより除去することができる.高炉スラグを混入すると全リンはより除去でき,ゼオライトを使用すると全窒素も除去できた.ゼオライトとスラグの最適な配合は,強度や浄化機能を考えると前者の混入率は20%,後者は50%であった.
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