研究課題/領域番号 |
10558098
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
加藤 博章 理化学研究所, 速度論的結晶学研究チーム, チームリーダー(研究職) (90204487)
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研究分担者 |
山野 昭人 理学電機株式会社, X線研究所, 研究員
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
前田 雄一郎 理化学研究所, 構造生物化学研究室, 主任研究員 (10321811)
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キーワード | タンパク質の結晶化 / X線結晶構造解析 / 動的光散乱 / 結晶化能 / 遷移状態アナログ / タンパク質化学 / 抗菌性タンパク質 / アスパラギン合成酵素 |
研究概要 |
本申請課題の目的は、動的光散乱法を用いて結晶化能の定量を行うことを中心として、結晶化の可能性が低いと判定されたものを改質(良)するための対処法を体系化することにある。また、その結果得られた結晶化の戦略を実際に応用して、その実用性を検証することも行う予定である。本年度得られた結果は以下の通りである。 (1)たばこ由来の抗菌性タンパク質PR-5dは、甘味タンパク質ソーマチンと立体構造が類似していることが予想されているが、それらタンパク質の機能の違いと立体構造との関係は不明であった。そこでPR-5dのX線結晶構造解析を1.8Å分解能で行いソーマチンとの立体構造比較を行うことにより、PR-5dタンパク質の表面にある陰性荷電領域が抗菌性と関連している可能性を示唆することができた。 (2)トロピノン還元酵素IIについて、生成物との複合体の結晶を調整することにより、分解能を格段に向上させることに成功するとともに、その立体構造をX線結晶解析することができた。また、得られた結晶は、白色X線を照射すると良質のラウエ回折像を与えることが判明した。 (3)アスパラギン合成酵素の遷移状態アナログの合成に成功し、本アナログと酵素との複合体を結晶化して素の立体構造を解析することに成功した。その結果、かねて期待されたように、遷移状態アナログとの複合体を調製することにより、結晶性が向上し分解能が格段に良くなることも判明した。
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