研究概要 |
本研究課題の下に以下の知見が得られた。1)選択的スプライシング感受性GFP発現ベクターの構築と細胞内への導入:カルシトニン/CGRP遺伝子の選択的スプライシングアッセイ系を構築するため、ゲノムDNAの一部をGFP発現ベクターに組み込んだ。神経細胞ではGFPが発現するのに対し、非神経細胞ではGFPが発現していなければ、神経細胞特異的なスプライシング因子のクローニングに利用できると目論んでいたが、予想に反し、GFPは細胞の種類に関係なく発現していた。ここで使ったようなミニ遺伝子ではin vivoの選択的スプライシングを模倣することが難しいことの結論を得た。2)GFPによるリン酸化モニター系の構築:GFP発色団(chromophore)の様々な変異体で互いに異なる蛍光スペクトルを有する2種のGFPを用いて、Fluoresoence Resonance Energy Transfer(FRET)の変化を測定することにより、細胞内での転写因子CREB活性化をリアルタイムでかつ定量的に観察することに成功した。3)選択的スプライシング因子とそのリン酸化酵素SRPKの機能:RNAi法により線虫においてSRPKは発生および生殖巣形成に関与することが示唆された。4)選択的スプライシング因子SF2に結合するリン酸化酵素の検索:SRタンパクリン酸化酵素SRPK1,SRPK2とsplicing factorであるSF2が結合しており、その結合によりSF2/ASFの細胞内局在が制御されているのではないかということが示唆された。5)アルギニンメチル化酵素の基質と調節因子のクローニング:RNA processingの段階においても、さまざまな蛋白修飾反応がRNA結合蛋白群の様々な活性を調節していると予想される。アルギニンメチル化酵素PRMT1の基質タンパクを、我々が独自に考案した発現クローニング法により基質タンパクを検索してみると、大半はRGGドメインを持つRNA結合タンパク様のクローンであった。
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