研究課題/領域番号 |
10558104
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
阪口 雅郎 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30205736)
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研究分担者 |
草野 一富 エーザイ株式会社, 薬物評価研究所, 研究員
徳田 元 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (40125943)
大村 恒雄 九州大学, 名誉教授 (80029933)
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キーワード | 薬物代謝 / 小胞体 / 大腸菌 / タンパク質立体構造 / シトクロムP450 / 膜タンパク質 |
研究概要 |
(1)チトクロームP450(P450と略)の大腸菌内での発現の一般則については、アミノ末端の改変によって全てのP450の大腸菌内での発現が可能なことが明らかにされつつある。また、抗生物質のなかでもクロラムフェノコールなどのいわゆる"コールドショッグ"誘導型のものを若干量添加することによって、P450の大腸菌内での発現レベルが格段に改善されることが明らかになった。さらに、ミトコンドリア型P450の一種であるP450scc分子では"ヒートショック"誘導剤であるエタノールの添加によって可溶性画分への回収量が向上することも判明した(研究発表、Kusanoら,1999)。 (2)P450のアミノ末端に存在する膜結合領域である"I型シグナルアンカー配列"の立体構造形成機能について、P450分子のアミノ末端に保存されているシグナルアンカー配列(SA)・正電荷に富む領域(BS)・プロリンに富む領域(PR)について、大腸菌での発現における重要性を検討した。PR のプロリンについては、真核細胞において観察されたのと同様に、これらのプロリン残基が機能構造形成に極めて重要であることが見出された。すなわち、これらのプロリンに点変異などを導入することによって、発現される変異P450の機能構造が形成されないことが判明した。またこのプロリンはP450の分子種によって交換不可能であり、分子種によって特定の PR構造が必要であった。またSAやBSは分子種によらず、異なる分子種間で交換を行っても構造形成には影響を与えなかった。興味深いことに、PRを構造形成の完了したP450分子からプロテアーゼによって除いても、もはや機能構造には影響せず、このPRが構造形成段階でのみ重要であることが明らかになった(Kusanoら、投稿中)。
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