研究課題/領域番号 |
10558106
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊島 近 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
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研究分担者 |
鈴木 清一 有限会社 クオーク, 代表取締役(研究職)
小笠原 光雄 株式会社 日立製作所, 計測器事業部・科学機器システム本部・第一設計部, 技術
中迫 雅由 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (30227764)
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キーワード | 電子線回折 / 結晶解析 / 構造解析 / クライオ電子顕微鏡 / 低温試料ホルダー / 蛋白質結晶 / データ収集 |
研究概要 |
本研究の目的は、簡単に言えば、電子線を使ってX線結晶解析と同じことが出来るシステムを開発しようというものである。そのメリットは、電子線とものとの相互作用が強いため、結晶がごく薄くてよいこと(電子線で問題なく扱えるのは0.1〜02μmまで)、シンクロトロン並の短い時間でデータ収集が可能なことである。また、電子顕微鏡像から位相情報を直接得ることも可能である。そのためハードウェア(特に回転カメラ)とソフトウェア(特に回転写真法よる回折強度データの収集)の開発を進めてきた。昨年度までに回転カメラの読み取り部分は十分な精度(0.001°)が得られることがわかったが、実装してみると多くの問題点が明らかになった。回転の動力としてパルスモーターを使うことで位置の再現性は非常に良くできたが、今度はギア精度の問題が判明し、結局のところ装置の完成には時間がかかってしまった。一方、この結果、予備的装置で得たデータにはかなりの誤差が含まれることが判った。ソフトウェアの方は順調に進行し、多くのデータセットを統合して回折点の積分強度を求められるまでになった。これは予備的装置によるデータを使ったものであり、統計的にはまだ十分とは言い難いが、新開発のハードウェアを使えば著しい改善が期待できる。これらの結果に関しては1999年6月の「高分子の三次元電子顕微鏡法」に関するゴードン会議で招待講演として報告した。もう一つのテーマは高傾斜のクライオホルダーの開発であった。これはこれ迄のクライオホルダーが傾斜角45°程度しか許さなかったため回折データの収集不可能な領域が大きいという問題を解決するためのものである。実効傾斜角80°が可能なホルダーを開発したが、冷却に問題があり、現在試作3号機になっている。今少し時間が必要である。
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