研究課題/領域番号 |
10558107
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川戸 桂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50169736)
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研究分担者 |
田名網 健雄 横河電気, 開発プロジェクトセンター, 係長(研究職)
木本 哲也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60292843)
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キーワード | 共焦点ビデオ顕微鏡 / 対物レンズスキャン / 3次元分布 / 海馬スライス |
研究概要 |
対物レンズ垂直スキャン式のリアルタイム共焦点顕微鏡システムを構築した。これは、対物レンズを垂直方向にスキャンすることにより、共焦点断層像を垂直方向にリアルタイムで取得することを可能にするシステムである。基本構成は、ニポー円盤を回転させる形式の倒立型共焦点蛍光顕微鏡に、対物レンズをピエゾ素子により1-15Hzで上下振動させる装置を組み込んだものである。本システムにより、100μmの厚みの領域を、毎秒最大5回スキャン(取得画像数は一秒あたり30枚)できる性能を実現した。 厚さ400μmの海馬スライスを使用し、Calcium Green-1で海馬を標識した。×20の対物レンズを用い、灌流システムでNMDA刺激し、CA1領域を解析した。Calcium Green-1は神経細胞よりグリア細胞に蓄積しやすい。スライスのxy平面における蛍光強度の分布はほぼ一様で、それはスライスの底面でもz軸方向移動していっても平面内蛍光強度の一様性は保たれていた。2次元平面での蛍光像はz軸方向の各断面において大きな変化は見られなかった。次に、スライスチャンバーに接している底面及び底面から100μm上面(本顕微システムで観察可能な最上面)において、その蛍光強度の時間変化を解析した。刺激前、スライス底面では50〜60の蛍光強度があり、100μm上面では20程度の蛍光強度があった。NMDAで刺激すると、スライス底面では蛍光強度が刺激前に比べて1.1倍に上昇した。それに対し100μm上面では蛍光強度が1.5倍に上昇し、スライスの垂直軸方向の蛍光強度が異なることがわかった。外液が直接作用している底面よりスライス内部の方が蛍光強度の変化が大きいことは興味深い。
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