研究概要 |
本年度の研究では、in vivoにおける血流およびヘモグロビン(Hb)酸素飽和度の変化を検出することを目的として、Wistar系ラットのほかに、スナネズミを用いた実験を行なった。本研究で用いたスナネズミはWilis動脈輪形成不全があるため、総頸動脈の結紮により前脳部にはっきりとした虚血を起こすことが可能である。 スナネズミの左総頚動脈を一時的に結紮して断層像を撮影し、その後再開通してから更に断層像を撮影した(結紮時間は約15分)。805nmによる結紮前と後の差画像から、脳のあると思われる部分に血流量の低下が見られ、再開通後に血流の増加が見られた。しかしながら、血流低下に左右差は見られなかった。805-780nmの断層像より、左側(結紮側)の結紮に伴うHb酸素飽和度の低下と再開通に伴う上昇が見られたが、位置的には脳ではなく、眼球であった可能性も否定できない。一方、Wistar ratを用いた片側総頸動脈結紮実験でははっきりとした血流低下あるいはHb酸素飽和度の低下は認められなかった。in vivoの動物の断層像を再構成するのにどの様な方法が最も適しているか、対象物の推定吸収により4種類の重み関数(a,p,r,s)と3種類の再構成プログラム(直線バックプロジェクション法(BP),共役勾配法(CGM),最急降下法(IRST))の組み合わせで検討した。その結果、対象物の吸収を最も高く想定した重み関数aとIRSTの組み合わせが最も検出能が高いことが判明した。 本研究により、タイムゲート法を用いず、MonteCalro法を用いた重み関数法が近赤外線CTには有効であり、動物における機能画像取得も可能足りうることを証明した。
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