研究概要 |
1. 複数遺伝子の関連する多因子疾患の遺伝子解析と責任遺伝子座のマッピングに有力な武器となるリコンビナント近交系(RI系)LEXF23系統を樹立し、現在28-36代まで近交系化し、生産・供給に備えている。またRI各系の生理的基礎データーを検検討中である(志佐)。 2. 他の分野の研究者への供給としては免疫学的分野で米国ダラスのK.F.Lindahl、独、ハノーバーのH.J.HedrichにRI各系のDNAを分与し、前者はその成果をImmunogenetics 48;420(1998)に発表した。また心理学的分野で、つくば大、牧野順四郎、米国ペンシルバニア州立大D.A.BlizardらからRl系の分与希望があり、まず数系統の供給を始めている(志佐)。 3. 近年ラットのマイクロサテライトDNAマーカー数が飛躍的に増加し、RI各系についてマイクロサテライト座位を中心に約150座位の遺伝子型を決定し、その系統間分布図SDP(StrainDistribution Pattern)を作成拡充した。=部をRat Genome4;13(1998)に発表(志佐、日合)。 4. 系統保存のため各RI系統の受精卵凍結を始め、一部凍結卵から個体への戻しを検討中(加藤)。 5. プロピルニトロソウレア(PNU)誘発ラット.Tリンパ腫の発生に関する複数の遺伝子の検索をこのRI系統を用いて行い、Tリンパ腫の発生率、その潜伏期間を定量的パラメーターとして、QTL統計解析を行った。その結果4つの座位がTリンパ腫の発生率に、3つの座位が潜伏期の長さに寄与していることが示唆された。更に戻し交配実験結果から,上記の座位のうちから第5,7,10番染色体上にTリンパ腫への病型決定に与る量的形質遺伝子がマップ出来た(志佐、日合)。
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