研究課題/領域番号 |
10558131
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
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研究分担者 |
岩崎 泰彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所・素材部門, 助教授 (90280990)
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キーワード | 人工腎臓 / 血液透析 / 中空糸膜 / 血液適合性 / ポリスルホン / セルロースアセテート / MPCポリマー / ポリマーブレンド |
研究概要 |
本研究は、血液透析療法を行う際に、抗凝固剤の使用量を低減させることができる、あるいは究極的には抗凝固剤の必要としない治療を目指して、血液適合性を改善した人工腎臓を作製する新しい中空糸膜を合成するとともに、これを組み込んだ人工腎臓の前臨床評価を目的とした。すなわち、従来、広く用いられている中空糸型人工腎臓の膜表面を新規な血液適合性ポリマーで化学的修飾することにより、血液細胞や補体系タンパク質、凝固因子系タンパク質などとの相互作用を小さくし、血栓形成反応を阻止しようという考え方で、新しい人工腎臓用中空糸膜を開発した。ポリスルホン系中空糸膜は多孔質化する際の穴開け剤としてリン脂質極性基を有するMPCポリマーを応用した。マトリックスポリマーであるポリスルホンと均一の溶媒に混合できるMPCポリマーを新たに分子設計して合成した。これを混合したポリスルホン溶液を湿式法で成膜し、多孔質非対象膜を作成した。一方、セルロース系中空糸膜への応用も考慮し、セルロースアセテートについて、MPCポリマーとのブレンド膜の調製も行なった。これらの膜表面構造、断面の構造などを分析し、中空糸膜作成に結びつけた。MPCポリマーをブレンドしても膜強度や膜の物理構造が変化しないことを確認した。MPCポリマーで修飾した中空糸膜にヒト全血あるいは血漿を通過させた際に膜表面で起こる反応に血液成分の反応について血小板粘着、機能変化さらに補体活性化に着目して観察した。さらにタンパク質吸着を抑制できるために、膜の溶質透過性が低下しないことを見出し、これまでにない長期安定な溶出透過を実現した。
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