研究概要 |
超音波の照射効果を微小気泡製剤が促進するか否かについて、超音波による血栓溶解促進効果および遺伝子導入について検討した. ヒト血漿(1ml))に塩化カルシウム(CaCl_2,0.5M,10ml)を添加して、clotを作製し、これにUrokinase(10^4U/ml,10ml)+Thrombin(10^3U/ml,10ml)を加えた.これに1MHzの超音波を強度(ISATA3.6W/cm^2)で照射し、その際種々の微小気泡製剤を添加した場合にclot lysis timeが短縮するか否かを検討した.その結果、超音波照射によりclot lysis timeが短縮したが、超音波造影剤類似物質であるPVC-AN(polyvinylidene chloride-acrylonitryl copolymer)はさらにclot lysis timeを短縮することが判明した.一方、超音波造影剤(アルブネックス、レボビスト)は今回用いた照射条件では時間短縮効果を示さなかった. 超音波キャビテーションによる細胞膜上の可逆的な穿孔(Sonoporation)に依存すると思われる遺伝子導入法が新たな物理的遺伝子導入法の一つとしてとして注目されている.本研究ではより効率的な遺伝子導入条件を探索するため、異なる溶存気体を用いてin vitro超音波遺伝子導入を試みた。併せて、超音波造影剤レポビストの併用効果についても調べた. 脱気条件での遺伝子導入は認められなかったが、空気を飽和させると導入効率は顕著に増加した.効率は飽和させる気体の種類により変化し、3原子気体を飽和させた場合、遺伝子導入効率は有意に低下した。レボビストの併用により導入効率は増加した. 超音波による遺伝子導入がキャビテーションによることおよび超音波造影剤により増強されることを示した.
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