研究課題
基盤研究(B)
[はじめに]われわれは酸化スズ半導体臭気センサを用いて、据置型システムで、寝たきり老人の排泄モニタリングを行ってきた。今回は、装置にCPUを組み込み、センサ信号をスマートメディアに連続的に記録するポータブル型装置に改良した。[装置の概要]モニタリングシステムの概要は次のとおりである。スマートメディアをインターフェースとして、失禁センサのセンサ出力をパソコンに取り込み、排泄パターンをディスプレイに表示するようにした。[失禁センサの概要]オムツカバー内においたチューブから、低電力消費型小型空気ポンプで雰囲気を吸引し、酸化スズ半導体センサに吹気し、センサ出力をスマートメディアに記録した。それをパソコンに取り込みグラフ化した。[対象と測定方法]尿・便失禁を呈する歩行可能な老人を対象とした。対象者の下腹部は、内からパッド、オムツ、オムツカバーの順に3層で覆われているが、チューブの先端は腹側のオムツとオムツカバーの間に留置し、同部の雰囲気を24時間連続的に吸引し解析した。[結果]排尿・排便毎に反応波形がえられた。また、得られた波形の性状から尿と便の識別が可能であった。排尿ではスパイキィな信号を、排便では高止まりした信号を示した。ただし、波形の振幅と尿量との間には相関はなかった。[結論]本ポータブル型失禁モニタを用いれば、働く対象者における尿・便の失禁発生時刻を経時的に把握することが可能である。