研究概要 |
力学計測に基づく靴の滑り防止システムの構築のために(株)キスラーの床反力計,(株)ニッタの圧力分布測定装置をそれぞれ1台導入し,各機器の通常稼働を実現した後,研究を進めた.得られた研究実績の概要は以下のとおりである. (1) 一般的な足圧測定において,提供されるプログラムは複数トライアルの足圧分布データを基本統計処理および表示を行う形となっていないため複数トライアルのデータで統計処理を行い,診断・判定を行う必要がある.そのため,圧力中心点と進行方向を一致させて複数歩の圧力データを重ね合わせて平均化するプログラムを制作した.凹凸差の大きいブロック状のトレッドパターンの靴底で複数回測定した結果,各センサ圧力値の標準偏差の変動状況から,最低4歩分のトライアルを行うことで平均的圧力分布を特定することができた. (2) 床反力データの詳細な検討から,両脚支持期の後半期における滑り,すなわち前方足の踵接地に引き続く後方足の爪先離れに前後して起きる前方足の足底接地時近傍での滑りが,上体が後方へ落下し下肢が前方で上昇する腰部中心の回転運動につながり非常に危険であることをほぼ突き止めた.なお,歩行中の接線力比ベクトル軌跡を描画し,滑り危険度を計算・表示する既開発プログラムの本システムへの組み込みについては,(株)キスラーの床反力解析プログラムが扱うのが単一データであったため,メーカ提供プログラムと既開発解析プログラムとのインターフェイスの概念設計を行った.
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