研究概要 |
表記システムの構築のために昨年度導入した(株)キスラーの床反力計,(株)ニッタの圧力分布測定装置を用いて研究を進めた.得られた研究成果の概要は以下のとおりである. 足圧測定プログラムに関して,昨年度には全体圧力分布の平均化手法を提案して,凹凸の激しい靴底でも4試行分のデータで平均化すると良いことを示した.今年度は提案した手法を応用して瞬間圧力分布に対する平均化を行った.3名の被験者に対して時間20%,40%,60%,80%における3試行分のデータを平均した瞬時圧力分布の比較を行い,それぞれの特徴を観察することができた. 床反力計による測定データから,両脚支持期における滑りから転倒への進展に対してプロセスを明らかにし,加えて歩行中に見られる踵接地時の「振り下ろし」と爪先離れ時の「引き摺り」現象がそれぞれ滑り防止や転倒防止に利活用し得ることを確認することができた. 防滑性能の評価方法に関して,単に素材の摩擦係数で評価するのではなく,歩行中の靴底の防滑性能を調べるため,身体の加速度波形を測定して波形の変化から滑りの状況を把握してきた.今年度は波形の周波数分析を行い,主たる周波数成分の量的な比較で防滑性能の差違を表現できるかを検討した.その結果滑りに対する官能検査,素材の摩擦係数などと相関係数で0.6から0.7と高い相関があることを確認した.そのことから客観的評価に利用しうる感触を得ることができた.
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