研究分担者 |
浅川 潔 技術研究組合, フェムト秒テクノロジー研究機構, 主任研究員
川俣 純 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (40214689)
迫田 和彰 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (90250513)
片山 良史 筑波大学, 先端学際領域研究センター, 教授 (60302387)
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研究概要 |
1.準3次元半導体フォトニック結晶の試料開発を精力的に実施した。すなわち,昨年度から引き続いて,a)Al_<1-x>Ga_xAs半導体光導波路に穴を開けるタイプ(SC)の試料に関して,従来よりさらにアスペクト比が高く,均一な穴を開けた試料の作製を行うと共に,新たに,b)上下のクラッド層を選択エッチング液を用いて取り除いたエアブリッジ型スラブ試料(AB),さらに,c)下のクラッド層を酸化によりAl_xO_yに置き換えた試料(OC)の作製に成功した。それぞれのタイプでパラメータの異なる多くの試料の光の透過率の波長依存性を測定し,計算で求めたフォトニックバンド構造と比較することにより特性評価を行った。その結果,SCタイプ結晶では2次元面に光を閉じ込める「導波固有モード」が存在しないために,輻射場の制御,並びに光の伝播制御の目的には著しい制限を受けることを示した。一方,AB試料では,導波モードが存在するライトラインの内側の固有モードで実際に透過率が100%になることを示し,上記の制御のために優れた試料であることを世界で初めて明らかにした。 2.ABタイプの試料でバンドギャップ中に線欠陥モ-ドが生ずる試料を設計し,実際に試料を作製した。測定の結果,ギャップ中に,ある特定波長の光が伝播するモードが存在することを実証した。 3.種々のタイプの急峻な曲りをもつフォトニック結晶導波路試料を作製し,実際に特定波長でのみ光がかなりの効率で伝播することを明らかにした。 4.上記のAB,SCの試料のそれぞれについて,分散が比較的にフラットな特定のフォトニックバンドについて,フェムト秒パルスの直接伝播測定により群速度を測定した。その結果,空気中に比べて1桁半遅い群速度を見い出した。世界最初の重要な結果であり,大きな成果である。
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