研究課題
基盤研究(B)
160mm鏡の試作試験より、多孔質のSiCのコアにCVD SiCをコートするブランクの製作方法を確立した。まず、鏡面の位置基準を得るために一部CVDをかけずに製作する方法をとったが、CVDのない部分で、研磨液が多孔質の部分に進入する現象により、低温での鏡面変化に大きく影響することがわかった。このため、全面にCVDをかける方法をとることとし、鏡面基準は完成したブランクの形状を測定することでとることとした。この方法で製作した160mm鏡を液体ヘリウム温度までの低温試験を行い、鏡面変化は測定精度以内で見られないことを確認し、SiC鏡用ブランクの製作方法を確立した。次に接着剤の選定を行い、金属部分を十分に低温処理すれば、低温変形は問題とならない量で抑えられることがわかった。その後、同じ方法により製作した700mm鏡の試作鏡を研磨し、液体窒素温度までの冷却試験をまず行った。鏡面精度は十分でなかったものの、冷却試験の手順・方法の検討を行い、鏡面の温度変化は、測定範囲内で認められす、本研究の目標を達成できることを確認した。最後に、支持部まで取り付けた700mm鏡の液体ヘリウム温度までの低温試験を行ったが、低温での熱膨張係数の差が残る塑性変形を起こすことがわかった。この結果は、今後再現性等を十分確認する必要があるが、赤外域で使用する範囲では問題にならないと考えられ、本研究の当初の目的は達成されたと結論される。しかし、塑性変形が起こることは、常温での調整に課題を残すとともに、自重変形が卓越している状況では、問題となる可能性があり、再現性の確認と解決方法は、次の研究課題になる。
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