研究課題/領域番号 |
10559012
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山口 淳二 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助教授 (10183120)
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研究分担者 |
山口 寛 株式会社山電, 技術部, 主任研究員
根本 圭介 東京大学大学院, 農学生命科学研究科, 助手 (40211461)
山本 良一 帝塚山短期大学, 食品科学, 教授 (10047384)
谷本 英一 名古屋市立大学, 自然科学研究教育センター, 教授 (90080283)
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キーワード | 細胞壁 / 伸展曲線 / 葉鞘 / 稈 / イネ / エンドウ / ジベレリン / ヘミセルロース |
研究概要 |
平成10年度の研究成東を以下に示す。 1) 細胞壁物性測定機器の改良: 予備荷重機構の導入によって、細胞壁伸展曲線の初期過程の計測精度を上昇させることができた。これにより、特に弾性率の計測値の信頼度が上昇した。微少な試料挾みを改良した。これによって、イネの根、およびエンドウの側根など直径1mm以下の根について、根端部から1mm間隔で細胞壁の伸展性が計測できるようになった。 さらに、アラビドプシスの胚軸や根の計測も可能であることが分かった。また、伸展曲線の解析ソフトウエアにおいて、最小二乗法を使い、従来より単純な粘弾性パラメータを導入することによって、伸展性パラメータの変化の熱力学的な解析の糸口が掴めた。計測器の軽量化については、まず、ノート型パソコンによるウインドーズ対応プログラムの開発を目指しているが完成にはまだしばらく時間が必要である。 2) イネ葉鞘における細胞壁物性の測定 初期イネ葉鞘伸長における細胞分裂/細胞肥大、細胞内浸透溶質、細胞壁物理的伸展性についての経時的変化を解析し、これら葉鞘伸長の生理的背景を明らかにした。伸長は主として分裂を終えた細胞の縦方向への急速な肥大により賄われており、併せて行った葉鞘細胞壁の物理的伸展性と細胞内浸透圧の測定から、ジベレリンにより促進される細胞肥大が細胞内膨圧の増大を伴わない細胞壁の″ゆるみ″によって制御されることを明らかにした。 3) イネ稈における細胞壁物性の測定 出穂後のイネの桿の細胞壁物性(強度)の推移に桿のヘミセルロース含量の低下が関与している可能性が示唆されたことから、今年度はこの時期におけるヘミセルロース分解酵素の遺伝子発現を調べた。イネの(1-3,1-4)-β-グルカン分解酵素Gnsl遺伝子の発現を観察したところ、登熟期の桿での発現がきわめて強いことが明らかとなった。このように、出穂後の桿でヘミセルロース分解が進行することが遺伝子発現からも確認できた。
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