研究課題/領域番号 |
10559016
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鈴木 炎 富山大学, 理学部, 助教授 (10216434)
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研究分担者 |
柳楽 和彦 株式会社同仁化学研究所, 研究部・研究課, 課長
稲田 康宏 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60242814)
舟橋 重信 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30022700)
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キーワード | 巨大温度ジャンプ / 非線型緩和 / 近赤外色素 |
研究概要 |
近赤外色素がYAGレーザー光を効率良く熱エネルギーに変換することを利用して、その溶液にレーザーパルスを照射することによって、巨大温度ジャンプを実現することができる。本研究では、巨大温度ジャンプの非線形緩和現象への適用と、薬学・医療への応用の二つを目的としている。本年度は、昨年度に引き続き、金属錯体系とリポソーム系について研究を進めた。 1.金属錯体溶液における非線型現象測定:平成10年度本補助金で購入したレーザー(ポンプ光・プローブ光)と光学測定系に加えて、本年度本補助金で購入したディレイジェネレーターを用いて、非線型現象観測のために装置を最適化した。この装置により、顕著なサーモクロミズムを示す錯体溶液に対して巨大温度ジャンプ測定を行った。その結果、熱レンズ効果による散乱、非指数関数的サーモクロミズム、micro-bubble formationの三段階の現象を観測した(投稿準備中)。 2.液体光ファイバーを利用した試料セルの開発:熱レンズによる強度の散乱を防ぐために、特殊な屈折率を持つフルオロポリマーチューブを用いてliquid-core光ファイバーを構成する試料セルを開発した。その結果、熱レンズ効果を事実上消去することができた(投稿準備中)。 3.リポソーム系への応用:逆相蒸発法、Vortex法、超音波法により作製した種々の電荷、サイズ、分布を持つリポソームに対して色素のドープを行い、特に負電荷を有するホスファチジルグリセロールリポソームで高い色素-リン脂質比を実現した。さらにカルセイン蛍光法により、温度ジャンプによるリポソーム開裂の観測に成功した(投稿準備中)。 4.今後の研究展開:得られた知見を確立するために、条件を変えて確認・対照実験を行い、一年以内に成果を取りまとめ公表する計画である。また、医療への応用へ向けて最適なリポソームを検索していく方針である。
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