研究概要 |
書籍の3次元情報入力手法の開発: まず,申請設備であるディジタル画像入力システムを用いて,書籍の3次元情報の入力手法を開発した。水平に設置された台に置かれた書籍を撮影して得られたディジタル画像から,書籍の大局的な表面形状や,ぺ一ジに用いられている用紙の反り・うねりによる微細な凹凸形状を再構成する手法である。ここでは,照度差ステレオ法を書籍表面の3次元形状情報の獲得に採用しているが、この手法を本研究で対象とする書籍のページ表面形状の復元に用いるにあたり,(1)紙表面の光学的反射特性が完全拡散面と近似出来ない (2)ページ境界(見開きの2ページの境目)における光の多重反射や影による影響 等,従来の照度差ステレオ法では未解決な問題を解決する必要がある。申請者のグループがこれまでに,照度差ステレオ法を用いて皮膚表面の3次元形状を復元するために,上記のような問題を解決するための手法を提案しているが,本研究ではこの手法を発展させ,より書籍表面の3次元入力に適合した手法を開発した。 書籍の超高解像度入力手法の開発: 本研究で用いたディジタルカメラは、最先端に近いものであるが画素数が,2000×2000画素程度であり,研究内容によっては画素数が不足して十分な解像度が得られない場合がある.そこで,ページを分割して,複数の視野において撮影して得られた画像を統合し,より高解像度なディジタル画像に統合する手法を確立した。局所的なテンプレートマッチングを行うことにより,自動的に位置を合わせ,統合処理を行うことを基本とするが。この統合の際,カメラの撮像系の歪み等により,厳密には隣あう画像が一致しなかったり,照明の不均一さにより輝度が不連続になってしまうために,統合の境界を連続的に接続するのが難しい、などの問題点を克服し,実用に耐え得る統合を行うための手法を開発した。
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