研究課題
基盤研究(B)
国土地理院の全国GPS観測網に基づく日本列島可降水量情報を、地球温暖化による水蒸気量増加の監視、各種リモートセンシングの水蒸気補正、大気汚染や生物・植生環境の監視などの環境科学分野に学際利用をはかるために、(1)国土地理院GPS水蒸気情報をGPS解析システム全体にに立ち入って精密に評価し、(2)現在の地殻変動を目的とした解析システムとは独立に、可降水量を目的とした解析システムを再構築して、(3)準リアルタイムでアクセス可能な「日本列島GPS水蒸気情報データベース」を構築することを目標として、研究を実施した結果、以下の成果を得た。先ず、(1)に関しては、GPS水蒸気推定値に見られた日変化のひずみの原因が主として海洋潮汐荷重効果による地殻の鉛直変位にあることが判明した。(2)に関しては、国土地理院のGSPルーチン解析システムとは独立のGIPSY解析ソフトウェアーによる大気遅延勾配モデルの有無を考慮して、約1000点を上る国土地理院GPS観測点のすべての1年間にわたる可降水量の推定を行った結果、GIPSY可降水量情報は国土地理院ルーチン解析のそれらよりも高い信頼度を持つこと、また大気遅延勾配モデルの有無の効果は十分に小さいことなどが明らかとなった。最後に(3)に関しては、インターネットで検索可能な「GPS水蒸気情報データベース」の構築が終了し、今後、上記GIPSY解析ソフトウエアーによるGPS可降水量情報に基づくデータベースの検証・評価がなされる予定である。
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