研究課題/領域番号 |
10610011
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
丹治 信春 東京都立大学, 人文学部, 教授 (20112469)
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研究分担者 |
岡本 賢吾 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (00224072)
神崎 繁 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (20153025)
野本 和幸 東京都立大学, 人文学部, 教授 (70007714)
篠原 成彦 信州大学, 人文学部, 助教授 (60295459)
石川 求 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (80192483)
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キーワード | 自然主義 / 言語 / 信念 / 命題 / 翻訳の不確定性 / クワイン / 合理性 / フレーゲ |
研究概要 |
今年度の成果としては、本研究の四つの柱のうち、とりわけ(2)「抽象的対象としての命題」の問題との関連で、そもそも自然主義者はこの点をどう考えるべきかについて、丹治が大胆な見解を打ち出したことが特筆される(研究合宿、及び東大哲学会における丹治の発表)。丹治の主張の骨子は、物理学がそれ自身だけで世界の完全な記述を与えうることを認める自然主義の立場を一貫させるならば、非物理的な抽象的対象としての意味や命題というものを措定して心的態度を説明することは、余計であるばかりか不整合であるし、より根本的に、クワインの「翻訳の不確定性」の議論などを援用すれば、われわれの間に根強いメンタリスティックな言語観--各々の話者は、彼が用いる文がどう翻訳・解釈されるかからは独立に、一定の「本当の信念」を"心の内に携えて"おり(つまり、或る命題に対して、信念の対象・内容としての態度をとっており)、そのような命題はまさに抽象的対象としてそれ自体で確定的に存在する、といった想定--は、端的に誤りである(少なくとも、信念その他の心的態度の説明として著しく不満足で、的外れである)ことが論証できる、というものである。この考えをどう受け止めるかが、本研究の今後の展開の上で一つの大きなテーマとなる。なお以上の他、(1)(3)(4)についても重要な展開があったが(裏面のリストを参照)、紙幅がないため詳細は来年度の報告書に譲る。
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